歯科技工士/早川純です。
前回の更新から間があいてしまいましたが、天然歯のお話をしたいと思います。
天然歯と書いて、【てんねんし】と読みます。
歯科医療従事者にとっては聞き慣れた言葉ですが、患者さんの立場で考えれば、普段の生活で聞く機会はないですよね。
この天然歯に機能や見た目をいかに近づけるかが歯科技工士には求められます。
私たちが歯を製作する際には、色見本【シェードガイド】を用いて患者さんの歯の色を記録します。ちなみにそれぞれのセラミックメーカーの色見本があります。
見慣れていないと少し、気持ち悪いかもしれませんが...。
前歯の写真で見てみましょう。
大きな画像でご自身の歯を見る機会は少ないと思いますが、よく観察してみると歯は複雑な色であることがわかると思います。
撮影時の照明によっても歯の色が変わることもわかるかと思います。
色を正しく記録することはとても難しいことです。
そのため、歯科技工士は写真撮影についても色々と学ばなければなりません。
観察すると縦にシャープな白い線が入った歯もありますが、これはひび割れ【クラックライン】と呼ばれます。
茶色が強い部分、白が強い部分、グレーが強い部分、青が強い部分と様々です。
下段の写真は、色の大まかな分布を強調しました。
しっかりと噛めることに加えて、セラミック治療など色を求められる場合は、この色を再現するために歯科用セラミックを何層にも焼き付けていきます。
セラミックを盛って、焼き付けられる厚みは約1mmほどしかありません。
織部焼や色鍋島、伊万里焼などの皿や壺といった美術品をイメージするとわかりやすいかと思います。
【1mmの中に求められる色表現を与える】
言うは易く、行うは難しです。
そのため、製作者である技工士によって歯の再現力は全くといって別物となってしまいます。
この部分の技術を技工士から患者さんへ伝えることも、これからは求められてくるのではないでしょうか?
セラミック治療を受ける際には、担当歯科医師が誰であるかも重要ですが、担当歯科技工士の名前が答えられる医院だと信頼度が大きく上がると思います。
歯科医師と歯科技工士の信頼関係が高ければ高いほど、治療の質は高められると思います。
株式会社Dental Blue Ocean早川丸 早川純